〈写真:baomoi.com〉
ベトナムでは2026年のテト(旧正月)を前に、調理済みで冷凍保存が可能な「供物セット」の需要が拡大した。
時間的制約の高まりや利便性志向を背景に、50万ドン(約3000円)未満の低価格商品が新たな選択肢として台頭している。
ホーチミン市タンビン区の精進料理店によれば、今季から本格導入した冷凍供物セットがテト商戦の売上を前年同期比で約20%押し上げた。
従来は指定日に合わせて注文を受ける形式が主流であったが、近年は複数セットを事前に購入して冷凍保存し、必要に応じて順次利用する顧客が増加しているという。
商品は調理後に真空包装し急速冷凍するため、解凍や再加熱のみで提供可能である。
価格は35万~100万ドン(約2100〜6000円)で、なかでも50万ドン(約3000円)未満の商品が最も売れている。
初年度だけで200セット超を販売し、想定を上回る結果となった。
同様の傾向は、ハノイ市の精進料理チェーンでもみられる。同店は2年前から冷凍供物セットを販売しており、多忙な家庭を中心に需要が定着している。
価格帯は20万~50万ドン(約1200〜3000円)が中心で、長期保存が可能な点が支持を集めている。
事業者によれば、従来型の供物を家庭で一から調理する場合、下準備から調理までに数時間を要し、食材費も60万~100万ドン(約3600〜6000円)に達することが多い。
これに対し冷凍セットは、価格を抑えつつ基本的な献立を網羅可能なうえ、繁忙期の買い出しや価格上昇リスクを回避できる利点がある。
大手小売でも同様の動きが広がっている。タイ系小売大手のCentral Retailは、価格表示が明確で分量が定まった冷凍・パッケージ商品の来店客がテト前に増加したと明らかにした。
ホーチミン市の協同組合系小売Saigon Co.opは、完成品と下処理済み食材の2種類の供物セットを展開している。
価格は1kg当たり13万5000ドン(約810円)からで、40万ドン(約2400円)未満で4人家族向けの基本セットを用意可能としている。
また、小売チェーンのWinMartでは、テト関連売上が前年同期比23%増、供物関連商品は約20%増となった。主力価格帯は1セット当たり60万~70万ドン(約3600〜4200円)である。
小売各社は、テト直前の個別注文型から事前購入型の加工食品へと消費行動が移行していると指摘する。消費者は費用と時間を主体的に管理しつつ、伝統的な儀礼を維持する選択を強めている。









































