<写真:baosonla.vn>
ベトナムにおいて人工知能(AI)への関心と接触率は高まりを見せているものの、製造業における本格的な導入は依然として限定的である。ホーチミン市銀行大学(HUB)が発表した報告書「2026年マクロ経済:AI時代の挑戦と2桁成長への道」は、そうした実情を明らかにしている。
同報告書によれば、AIはコード生成やマーケティング支援といった補助的な用途を超え、次第に生産工程の再構築にも用いられ始めている。しかしながら、製造現場における導入はまだ進んでおらず、スタートアップ企業の35%が新製品開発にAIを活用している一方で、大企業では11%にとどまっている。
多くの大手企業は依然として基礎的なデジタル化の段階にあり、AIの利用も文書作成などの表層的業務に限られている状況である。
フルブライト大学のグエン・スアン・タン講師は、ChatGPTのような生成AIツールの普及が「AI接触率の高さ」を物語っていると指摘する。しかし実際には、電力消費量などを通じて確認される深度あるAI活用は進んでおらず、ベトナム電力(EVN)のデータによれば、2025年の商用電力消費量の伸びは前年比4.9%にとどまった。
統計上は、科学技術分野の経済への寄与は拡大傾向にあり、2025年には国内総生産(GDP)の2.5%に達する見込みで、前年から16.3%の増加とされている。しかしながら、AIによる生産性向上といった具体的な成果は依然として顕在化していない。
国家経済大学のチャン・トー・ダット教授は、AIの影響が経済全体に広がりつつあるとはいえ、製造方式そのものに大きな変革をもたらすには至っていないと分析する。AIの生産性向上効果についても、実証的な裏付けが不足しており、今後の継続的な研究が求められる。
HUBの報告書では、2021年から2025年までのGDP平均成長率は6.44%とされているが、その原動力は主に労働力と資本の投入および外資への依存であり、生産性や技術革新による質的な成長は依然として遅れているとされる。
ホーチミン市銀行大学のファム・ティ・トゥエット・チン准教授も、産業高度化の主因が資本と労働力であることを指摘し、AIや知的サービスの貢献度はまだ限定的であると述べている。
今後の持続的成長には、労働集約型から知識・技術集約型への構造転換が不可欠であると強調した。
製造業におけるAI活用の成果が明確に現れるまでには、ある程度の時間がかかるとの見方もある。過去においても、電力や情報通信技術の導入後、社会全体における効果の発現には数十年を要した経緯があり、AIにおいても同様の時間軸が想定される。
こうした状況を踏まえ、専門家らは2026年に向けて、ベトナムがマクロ経済の安定維持、経済構造の改革加速、市場の多角化、さらにはデジタル化とグリーン転換の推進を通じて、持続可能な成長の基盤を築くべきであると提言している。




































