<写真:nld.com.vn>
中東情勢の緊張が高まる中、ベトナムの物流企業や輸出企業は同地域向けの受注に対して慎重な姿勢を強めている。とりわけペルシャ湾の出口に位置するホルムズ海峡周辺の不安定化が、輸送費の上昇や配送遅延への懸念を強めているためである。
ベトナムにとって中東は主要な輸出市場ではないものの、アジアと欧州を結ぶ重要な物流回廊である。この地域の航路の安全性が損なわれれば、運賃や保険料の上昇、輸送時間の長期化などが国際物流全体に波及する可能性がある。
ホーチミン市の物流企業幹部によると、情勢が不透明なため新規受注の判断には慎重になっているという。仮にホルムズ海峡の通航が困難になれば、船舶はアフリカ南端の喜望峰を経由する迂回航路を取らざるを得ない。
この場合、航行期間は1~2週間延びるうえ、燃料費の増加や戦争リスクに伴う追加料金が発生する可能性がある。
海運大手も相次いで対応を強化している。デンマークのマースクは安全確保を理由にホルムズ海峡を通過する全航路を当面停止し、喜望峰経由へ切り替えた。
スイスのMSC、ドイツのハパックロイド、フランスのCMA CGMも同海域の回避を指示している。CMA CGMはさらにスエズ運河経由の運航も一時停止した。
こうした措置により、燃料費や保険料の増加に加え、コンテナ不足や港湾混雑など物流網全体への影響が懸念されている。輸出企業にとっては輸送費の上昇に加え、納期遅延による契約リスクも高まり、「二重の打撃」となる可能性がある。
海運市況は2026年初めまで落ち着きを見せていた。市場データによれば、ベトナムから米国西海岸向けの40フィートコンテナ運賃は2月時点で1550~2550ドル(約24万1610〜39万7500円)と、1月のピークから約2割下落していた。
しかし紛争が長期化すれば、戦争リスクの追加料金として1コンテナ当たり200~500ドル(約3万1180〜7万7940円)程度が上乗せされる可能性があると物流業界は見ている。
影響は航空輸送にも及んでいる。ハノイ市のノイバイ国際空港やホーチミン市のタンソンニャット国際空港では、中東系航空会社が相次いで欠航を決定した。
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ドーハ、ドバイ、アブダビ、イスタンブールといった主要ハブを経由する貨物輸送が滞り、欧米向け輸送の予約が難しくなっているという。航空貨物運賃は路線によって15~35%上昇する可能性がある。
ベトナム政府も警戒を強めている。商工省は企業に対し、物流契約や保険、不可抗力条項を見直すとともに、輸送手段や市場の多様化を進めるよう呼びかけている。
一方で、供給不安を背景に輸入業者の備蓄需要が高まれば、カシューナッツ、コショウ、茶、乾燥果実、水産物など一部のベトナム産品には追い風となる可能性もある。
しかし業界では「最大の課題は物流リスクの管理」との見方が強く、2026年の輸出環境は中東情勢の動向に大きく左右されるとの見方が広がっている。

































