〈写真:バーディン区の土地利用計画図(2020)〉
ハノイ市バーディン区のファンケービン通りでは道路拡張計画が進められており、行政文書によれば、計画はリンラン通りを挟み東西にまたがる広い範囲が対象となっている。
一方で、現在の公開資料で具体的な進捗や課題が確認できる中心区間は、リンラン通り〜リウザイ通り側である。
現時点では、この東側区間で大規模区画の補償や土地引き渡し、訴訟問題が解決しておらず、計画が妨げられているという。
今後、この停滞が解消されるかどうかが、通り全体の整備の進み方を左右する焦点とみられる。
なお、仮に当初計画どおりの規模で道路拡張が実施された場合、沿道の多くの飲食店が立ち退き対象となる可能性がある。
全体の計画

〈周辺エリア全体の計画イメージ〉
ファンケービン通り拡張計画は、行政上は現在も継続案件として位置づけられている。
ハノイ市議会関連の2024年土地回収資料では、バーディン区の案件として、同計画が約1.4haの土地回収案件として掲載されている。
これは、リンラン通り〜ブオイ通り側を含む広い範囲の土地回収・整備計画が、行政文書上は維持されていることを示すものである。
また、2025年4月のハノイ市資料では、ファンケービン通り拡張は、バーディン区の実施案件として、延長370.25m、幅員30m、事業期間2018年〜2026年第4四半期と整理されている。
さらに、2024年の市資料では、遅延案件として主にリンラン通り〜リウザイ通り区間の拡張計画が示されている。
つまり、計画全体は広い範囲で残っている一方、現在の公開正式資料で具体的に進捗管理されているのは、主として東側区間であることが分かる。
ハノイ市は公式目標として2026年第4四半期末までの処理完了を掲げているが、現時点ではこれを裏付ける新たな個別進捗の公表は確認されていない。
リンラン通り〜リウザイ通り側

〈〜リウザイ通り区間計画イメージ〉
現在、最も大きな課題となっているのが、リンラン通り〜リウザイ通り側の区間である。
最新の計画では最大の障害として、MULTINATIONAL社が占有する6078㎡の区画が挙げられており、事業全体の収用面積6532.37㎡の約95%を占める中核部分となっている。
同社は補償金や支援金を受け取っておらず、土地の引き渡しにも応じていないとされる。さらに、苦情申立てや訴訟が長期化しており、この区画はいまだ未引き渡しのままとなっている。
そのため、工事も再開していない。また、同区間の背景には、旧来の別事業がある。
現地メディアVietnamPlusによると、ハノイ市は2007年に投資者を選定し、2008年にはMULTINATIONAL社に対し、ファンケービン通りの排水路用地を活用した駐車場事業を認めた。
対象範囲はリンラン通りからリウザイ通りにかけての約7000㎡で、駐車場と付帯サービスを整備する計画であった。
しかし、その後、この旧プロジェクト用地では無許可建築や再賃貸が問題化した。
MULTINATIONAL社が用地内に複数の構築物を設置し、他事業者へ再賃貸していたと報じられており、営業主体としてHải Sản Phố、Circle K、Pizza 4PSなどの名称が挙げられている。
2018年には、バーディン区当局が違反建築の是正と撤去を進めた。さらに2021年には、旧プロジェクトは正式に終了の方向へ動いた。
VietnamPlusによれば、ハノイ市計画投資局は、排水路の暗渠(あんきょ)化事業について活動終了を決定しており、その理由は許可目的と異なる使用にあったとされる。
このように、旧来の「暗渠化+駐車場」事業は行政上、終了扱いへ進み、現在の道路拡張事業へとつながっている。もっとも、2026年3月25日付のハノイ市計画KH-119-2026が示す現状は厳しい。
同計画では、2026年第2〜第3四半期に用地回収を完了し、第4四半期に建設工事を実施する方針を掲げているが、実際には控訴審継続中、最大区画未引き渡し、現場未着工、主要契約終了済みという状態にある。
なお、公式発表はされていないが、計画進行の障害となっているHải Sản Phố周辺では、2026年第3四半期に立ち退きが進められるとの情報が流れている。
リンラン通り〜ブオイ通り側

〈〜ブオイ通り区間計画イメージ〉
一方、リンラン通り〜ブオイ通り区間である西側については、現時点で東側のような具体的進捗や個別の障害が公開資料上で詳しく示されているわけではない。
ただし、この区間を含む広い範囲の土地回収・整備計画そのものは、行政文書上なお維持されている。その意味で、リンラン通り〜ブオイ通り側が将来的な整備対象から外れたと判断することはできない。
現段階では、まずリンラン通り〜リウザイ通り側の用地問題がどう動くかが先行指標となる構図である。
なお、Hải Sản Phố周辺の立ち退きが進められるとの情報が事実であれば、まず東側の用地問題が動き出した後、行政計画が残る西側も、次段階の整備や土地回収の検討が具体化する可能性が高いと見られる。
今後は、東側区間の補償・訴訟問題の進展が確認されるかどうかが、ファンケービン通り全体の拡張計画を見通すうえで最も重要なポイントとなる。

































