〈写真:znews.vn〉
ベトナム中部の港湾都市ダナンにおいて、いわゆる「デジタルノマド」の流入が生活費の上昇を招いているとして議論が広がっている。
観光とリモートワークを両立する外国人が増加することで地域経済に一定の恩恵がもたらされる一方、地元住民との間に生活水準の格差が生じているためである。
議論の発端の1つは、ユーチューバー「Joose the Nomad」がダナンを「デジタルノマドに最適な都市」と紹介した動画である。
海岸線や高層ビル、ジム、西洋風の料理などを強調する内容は8万人超の登録者に向けて発信された。
しかし、その描写は地元の実情を十分に反映していないとの批判も上がっている。
ある人物は海外メディアの取材に対し、家賃や生活費が急騰して地元労働者の収入水準を上回る水準に達していると指摘する。
ダナン市は2019年、米紙の旅行先ランキングで取り上げられたことを契機に国際的な知名度を高めた。
近年では東南アジアで急成長するノマド拠点の1つと位置付けられ、オンラインコミュニティでも有望都市として紹介されている。
外国人が最長3カ月の電子ビザを比較的容易に取得できる点も、こうした流入を後押ししている。
しかし、地元住民にとって家賃の上昇は深刻な負担である。
あるベトナム人男性は月収約1200万ドン(約7万2000円)の求人を検討したが、中心部のワンルームの賃料はその半額以上を占め、独立した寝室付き物件では月1200万ドン以上が必要とされる。
家主による値上げもあり、同氏はより家賃の安い南部ホイアンへ転居した。
短期賃貸物件の増加も価格上昇の要因とされる。民泊データ会社の統計によれば、2022年から2025年にかけてダナンの民泊物件数は4割以上増加した。
平均賃料はピーク時より低下したものの、2022年と比べると依然として約2割高い水準にある。市内では1泊100ドル(約1万5300円)前後で貸し出される物件も確認されている。
もっとも、デジタルノマドの存在を前向きに評価する声もある。
ダナン市内でコワーキングスペースを運営する起業家は、外国人がデザインや翻訳などの分野でベトナム人を雇用し、新たな収入機会を生み出していると語る。
ダナン市観光当局によれば、2025年の外国人観光客は延べ760万人に達しており、ノマドはその一部にとどまる。
海外の研究者は、タイのチェンマイやインドネシアのバリ島、南米メデジンなどで見られた事例を挙げ、ノマドの流入が都市の不均衡を拡大させる可能性を指摘する。
一方で、長期滞在し消費額の多いノマドは団体観光客に比べて地域への負荷が小さいとの見解も存在する。
現時点でダナン市は一定の均衡を保っているとされるが、今後の動向は不透明である。
都市が持続的に発展できるかどうかは、流入する人材の質や地域社会との関係構築に大きく左右されるとの見方が専門家の間で広がっている。































