〈写真:Tuoitre〉
ベトナムの人工知能(AI)産業は急速な成長を遂げている。年平均成長率(CAGR)は約39%に達し、AIに対する信頼度と受容度において世界6位に位置するなど、同国は世界的なAI競争における有望市場として存在感を高めている。
2025年10月、ベトナム人技術者が開発したAI問答型ソーシャルネットワーク「AI Hay」は、モバイルデータ分析大手Sensor Towerが公表した「State of AI – Report 2025」において、実利用者数およびダウンロード数で世界上位5位に入った。東南アジアから唯一のランクインである。
2025年上半期の国内市場では、GoogleのGoogle GeminiやDeepSeekのサービスを上回り、ChatGPTに次ぐ利用者数を記録した。累計ダウンロード数は1500万件を超え、教育分野アプリとして首位を維持している。
同社は世界的大手と正面から競合するのではなく、受験情報や政策・法令情報など、ベトナムの利用者ニーズに特化する戦略を採用している。「Make in Vietnam」を掲げる動きはスタートアップにとどまらず、大手企業にも広がっている。
FPTは、ベトナム語の自然言語処理や音声合成、チャットボット機能を備えた「FPT.AI」基盤を開発し、生成AIを活用した企業向けソリューションを展開している。顧客対応やコンテンツ生成の自動化を通じて、数千社における業務効率向上を実現している。
Viettelは、ビッグデータ分析、デジタルツイン、サイバーセキュリティーを含む包括的なAIエコシステムを構築中である。国防やスマートシティー分野への導入も進められている。
Vingroup傘下のVinAIは、国際水準の基礎研究を担う数少ない企業の1つである。自動運転向けコンピュータービジョンや交通監視システムを実装し、都市交通の高度化に貢献している。
市場規模も拡大を続けている。調査会社Statistaは、ベトナムのAI市場が2025年に9億3200万ドル(約1428億8000万円)、2031年には69億1000万ドル(約1兆596億円)に達すると予測している。2025年から2031年までのCAGRは38.97%と高水準である。
企業による導入も加速している。Amazon Web ServicesとStrand Partnersの共同研究によれば、AIを導入済みの企業は約17万社で、全体の18%に上る。前年の13%から大幅に上昇した。2024年は前年比39%増となり、毎時平均5社が新たにAI導入を開始した計算である。
政府の後押しも強まっている。国連の電子政府開発指数において、ベトナムは初めて「非常に高い」グループに分類され、世界71位、東南アジア5位となった。2030年までに地域有数のAI拠点となることを目標に掲げ、国家AI研究・開発・応用戦略を推進している。新たなAI法では、国家AI開発基金の設立も規定された。
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一方で課題も残されている。高度専門人材、とりわけ基礎研究を主導できる博士級研究者の不足は深刻である。大規模データセンターや高性能計算基盤の整備には巨額の投資が必要であり、資金面での制約も存在する。2024年の国内AIスタートアップへの投資額は約8000万ドル(約122億6400万円)にとどまった。
それでも、政策支援と企業の積極投資は相乗効果を生みつつある。科学技術とデジタル変革を梃子として、ベトナムが新時代の国際競争において先頭集団入りを目指す動きは、今後さらに加速すると見込まれる。






























