<写真:cafef.vn>
ベトナムが二桁成長を実現するためには、社会全体の投資規模をGDPの約40%まで引き上げると同時に、資本効率を改善することが不可欠である。問題は資金そのものの不足ではなく、資本を効果的に吸収可能な市場構造が十分に整備されていない点にあると指摘されている。
ベトナム財政省金融機関局のファム・ティ・タイン・タム副局長は、労働新聞が主催したセミナーで、2026~2030年に二桁成長を維持するには投資規模の拡大と資本利用効率の改善を同時に進める必要があると述べた。
政府の試算によれば、同期間に必要とされる社会全体の投資額は約3京8500兆ドン(約231兆円)に達する見込みであり、2021~2025年期の2倍超となる見通しである。近年のベトナムの投資規模はGDPの32~34%で、発展途上国としては比較的高い水準にある。
しかし、高成長を長期間維持した国々と比較すると、投資規模と資本効率の両面で改善の余地がある。韓国は1970~1990年にGDPの35~38%、シンガポールは35~40%、中国は1990~2015年に40~45%の投資水準を維持していた。
ベトナム政府は、資本効率を示すICOR(限界資本係数)を2021~2025年の平均約6.3から、2026~2030年には約4.8まで引き下げる目標を掲げている。この実現には、制度改革や技術導入、企業統治の改善が求められる。
資金源の構成では、国家投資を年平均約22%、民間投資を約20%、外国直接投資(FDI)を約18%拡大する必要があるとされる。財政省は、二桁成長は国家予算のみでは達成できず、国内民間部門と質の高いFDIの同時拡大が不可欠であると強調している。
政府は資金動員のための施策として、①財政収入基盤の強化と歳出構造の見直し、②官民連携(PPP)の拡充、③資本市場の発展、④外国投資の質向上、⑤資本利用効率の改善、⑥財政・金融政策の連携の六項目を挙げた。特に証券市場や債券市場の透明性を高めることで、中長期資金を安定的に供給する役割が期待されている。
一方、コンサルティング会社デロイト・ベトナムのズオン・タイン・トゥン副社長は、ベトナムは成長資金が不足しているのではなく、資金を吸収する適切な構造が不足していると指摘する。
同氏によれば、長期資本を呼び込むためには3つの条件が重要である。第一に、持続的なキャッシュフローに裏付けられていること。第二に、金融・エネルギー・インフラ・消費・技術分野を中心として民間資本が主導すること。第三に、IPOや持ち分売却など、投資回収の明確な出口が存在することである。
また、国際金融センター(IFC)の整備も資本市場の高度化に寄与するとみられる。IFCを単なる資金流入の拠点ではなく、国際資本市場の運用基盤として機能させることで、取引の信頼性を高め、為替や法制度、税制面のリスク管理を強化できるとされる。
トゥン副社長は、IFCは海外資金の受け入れ窓口にとどまらず、ベトナム企業が国際市場で資金調達を行う能力を高める装置となると述べている。

































