ベトナムでのジカ熱事情はどうなっているのでしょうか。結論から言うと、ベトナムでは現在もジカウイルス感染のリスクを完全にゼロとは言えません。
大規模流行が続いている状況ではないものの、CDCはベトナムを「現在または過去に感染伝播が確認されたため、リスクがある国」に含めています。
そのため、特に妊娠中の方、妊娠を予定している方、パートナーが妊娠中の方は、ベトナム滞在中の蚊対策や性行為時の感染対策を意識することが大切です。
今回はジカ熱に関する基本情報や予防方法について、2026年4月時点の情報をもとに、わかりやすく解説します。
ジカウイルス感染症(ジカ熱)は、主にネッタイシマカやヒトスジシマカなどを介して感染するウイルス感染症です。デング熱やチクングニア熱と同じく、蚊を媒介して広がります。
症状が出るのは感染者の一部で、感染しても無症状の人が多いことが特徴です。そのため、自分では気づかないまま感染している可能性もあります。
ベトナムでは、2016年以降にジカウイルス感染例が確認されてきました。
現在、2015〜2016年のような世界的な大流行期ではありませんが、WHOはジカウイルスが一部のアジア諸国を含め、低水準で持続または散発的に伝播し得るとしています。
またCDCは、監視体制の違いから現在の流行状況を正確に把握しにくい国もあるとして、過去または現在に感染伝播が確認された国・地域をリスクありとして扱っています。
つまり、ベトナムでジカ熱を過度に恐れすぎる必要はないものの、特に妊娠に関わる方は「もう関係ない感染症」とは考えない方が安全です。
ジカウイルス感染症の潜伏期間は、一般に3〜14日程度とされています。主な症状は次の通りです。
多くは比較的軽症で、数日から1週間ほどで回復することが多いです。ただし、デング熱など他の感染症と見分けがつきにくいことがあります。
ジカ熱で最も重要なのは、妊娠中の感染が胎児に影響する可能性があることです。また、まれに神経系の合併症が問題になることもあります。
ジカウイルス感染後、まれにギラン・バレー症候群を引き起こすことがあります。これは手足の力が入りにくくなったり、しびれが広がったりする神経の病気で、重症例では呼吸筋に影響することもあります。
妊娠中にジカウイルスへ感染すると、胎児に先天性ジカ症候群を引き起こす可能性があります。小頭症を含む先天異常や神経発達への影響が問題になります。
このため、ジカ熱は「症状が軽いから大丈夫」と単純には言えません。妊娠中、または妊娠を予定している場合は特に注意が必要です。
ジカ熱の感染経路は、蚊だけではありません。ベトナム滞在中は次の2つを意識することが重要です。
ジカウイルスを持つ蚊に刺されることで感染します。媒介するのは、デング熱と同じく主にネッタイシマカやヒトスジシマカです。
これらの蚊は日中にも活動するため、夜だけ注意すればよいわけではありません。
ジカウイルスは、感染した人との性行為を通じて感染することがあります。
このため、特に妊娠中、妊娠を予定している場合は、コンドームの使用や一定期間の避妊についても意識する必要があります。
ジカ熱には、現時点で一般旅行者向けに広く使えるワクチンや特効薬はありません。したがって、予防の基本は蚊に刺されないことと、必要に応じて性行為での感染対策を行うことです。
蚊に刺されない
長袖、長ズボンを着用し、肌の露出を減らすことが基本です。加えて、DEETやイカリジン(ピカリジン)配合の虫よけを使うと効果的です。
ベトナムではデング熱対策も兼ねて、日中の蚊対策を意識しておくと安心です。
ネッタイシマカは、植木鉢の受け皿、バケツ、空き缶、タンクのふた周りなど、わずかな水たまりでも繁殖します。
自宅や滞在先では、水がたまりやすい場所を放置しないことが大切です。
TravelHealthProでは、ジカリスク国への渡航中は妊娠を避け、女性は最後に感染の可能性があった日から2か月、男性パートナーが渡航した場合は3か月妊娠を避けるよう案内しています。
妊娠中の方や妊活中の方は、渡航前に産婦人科や渡航外来で相談するのがおすすめです。
ベトナム滞在中または帰国後に、次のような症状がある場合は受診を検討してください。
また、発熱がある場合はデング熱の可能性も考え、自己判断でイブプロフェンやアスピリンなどを使わず、医療機関に相談した方が安全です。
ベトナムでは、ジカ熱の大規模流行が続いている状況ではないものの、現在または過去に感染伝播が確認された国として、引き続き注意が必要です。
特に妊娠中・妊活中の方にとっては軽視できない感染症です。ベトナム滞在中は、蚊対策を徹底し、必要に応じて性行為による感染対策も行いましょう。
症状が軽いことも多い感染症ですが、妊娠中や体調不良が長引く場合は、自己判断せず医師へ相談するのがおすすめです。