<写真:cms.thainguyen.vn>
ベトナムの観光業において、旅行者に法外な料金を請求するいわゆる「ぼったくり」行為が各地で後を絶たず、国家ブランドの毀損につながっている。
専門家は、罰金の大幅な引き上げとデジタル技術の導入を柱とする抜本的対策が必要であると指摘する。
2月24日には、米国人女性観光客がハノイ市内でバイクタクシー運転手から約100万ドン(約6000円)を請求される事案が発生した。
ハノイ旧市街では、外国人客に市場価格を大きく上回る代金を求める露天商や、規定料金の数倍を請求するシクロ(三輪自転車タクシー)も問題となっている。
2025年には、フィリピン人観光客が約1kmの移動で140万ドン(約8400円)超を支払わされた例も報告されている。
こうした行為はハノイ市に限らず、ダナン市やホーチミン市など主要観光地でも散見される。
観光業界関係者は、苦情として表面化する事例は氷山の一角に過ぎず、実態はより広範に及ぶとみている。
英保険会社オールクリアが2月19日に公表した調査では、ベトナムはタクシー詐欺が多い国として世界4位に挙げられた。
背景には、小規模事業者が短期的利益を優先し、観光を持続可能な産業として捉えていないという構造的課題がある。
現行の罰金水準は不当利得を下回る場合もあり、抑止力として不十分であるとの指摘が強い。
専門家は、違反額の数十倍に相当する罰金の導入や、観光地における永久的な営業禁止など、厳罰化を提案している。
一方、地方当局も対策を強化している。
ハノイ市観光局はホットラインの設置や週末の警備強化を実施し、ダナン市も即応チームを設けて価格表示の徹底や違反事業者の監視を進めている。
ただし、当局者は「根絶は困難であり、最大限の抑制が現実的な目標である」との認識を示している。
海外では、制度と技術を組み合わせた管理手法が進展している。
タイでは観光警察が専用アプリを通じて通報を受理し、違反運転手に高額罰金や免許停止を科している。
シンガポールは消費者保護法に基づき返金や営業停止を命じる制度を整備している。韓国や中国でも、電子契約登録や覆面調査員による監視などを導入している。
ベトナムにおいても、価格上限を即時確認できる観光アプリの整備や、電子決済データを活用した監視体制の構築が提案されている。
観光は信頼と安心を基盤とする感情産業である。不透明な商慣行を放置すれば、SNSを通じて負の評価が拡散し、近隣諸国との競争で劣後する恐れがある。
行政による取り締まりの強化に加え、市民および事業者の意識改革が不可欠である。
専門家は「一人ひとりが観光大使であるとの自覚を持つことが、持続的発展への前提である」と強調している。



































