<写真:baochinhphu.vn>
ベトナムで人工知能(AI)の開発と利用を規律する「AI法」が2026年3月1日に施行された。
2025年12月に国会で可決された同法は、AIを経済成長とイノベーションの重要な原動力と位置付ける一方、リスクに応じた管理や透明性の確保を求める内容である。
主なポイントは次の4点である。
第1は、AIのリスク分類制度の導入である。AIシステムは「高リスク」「中リスク」「低リスク」の3段階に分類され、提供者が導入前に自己評価を行う仕組みである。
高リスクのAIについては、人間による監督や介入が可能な設計を義務付けるほか、技術文書や運用ログの作成・保存も求める。
監督体制もリスクの程度に応じて異なり、高リスクAIは定期的な検査や違反の疑いがある場合の調査対象となる。
第2は、AIが生成した内容の明示義務である。人と直接やり取りするAIシステムは、利用者がAIであると認識できる設計としなければならない。
また、AIが生成した音声、画像、動画などは機械で識別可能な形式で表示することが義務付けられる。
実在人物の外見や声を模倣するコンテンツや実際の出来事を再現する映像については、AI生成であることを分かりやすく表示し、誤認の防止を図る。
第3は、研究開発への支援強化である。AIの中核技術の研究開発に取り組む企業や研究者には優遇政策を適用する。
研究・実証のためのインフラやデータへのアクセス、試験環境の提供などを進めるほか、特に中小企業に対しては資金支援、研修、市場開拓の支援を行う。
政府は公共調達において国内のAI製品やサービスを優先する方針も示している。
第4は、人材育成の制度化である。AI人材の育成を目的として、初等・中等教育の段階からAIの基礎知識、計算思考、デジタル技能、技術倫理などを教育課程に組み込む方針を明記した。
大学や職業教育機関には、AIやデータサイエンス関連の教育プログラムの整備や、企業・研究機関との連携による実践的教育を奨励する。
同法は、AIを「人間に奉仕する技術」と位置付け、人間の権限や責任を代替するものではないと明確に規定する。
すべてのAIシステムにおいて人間による監督と介入の可能性を確保することを基本原則とし、安全性と技術発展の両立を図る制度設計である。





































