<写真:tienphong.vn>
中東情勢の緊迫化による原油供給不安を受け、ベトナム政府は国内の燃料需給の安定確保に向けた対応を強化している。商工省は国民に対し、私用車の利用抑制や在宅勤務の活用などを通じ、燃料消費の節約に協力するように呼びかけた。
背景には、米国とイランの軍事的緊張の高まりがある。イランがホルムズ海峡を封鎖したことで、世界の海上輸送原油の約31%に当たる日量約1300万バレルの輸送に影響が及ぶ可能性が指摘されている。
年初から原油価格は約20%上昇しており、供給がさらに滞れば、指標となるブレント原油は1バレル120~140ドル(約1万8720〜2万1840円)まで高騰する恐れがある。
ベトナムでは2025年の国内燃料消費量が約2860万㎥に達した。国内にはギソン製油所とビンソン製油所の2施設があるものの、依然として輸入への依存度が高く、一部地域で燃料不足が発生する可能性があると商工省は分析している。
政府はエネルギー安全保障の確保に向けた作業部会を設置し、製油所や流通業者に対して供給確保を指示した。輸入先の多様化を進めるとともに市場監視を強化し、投機的な買い占めや不正取引の取り締まりも強める方針である。
同省は国民に対し、不要不急の私用車利用を控え、公共交通機関や自転車の利用、相乗りなどを推奨している。車両の定期整備や燃費を意識した運転により、燃料消費を10~15%削減できる可能性があるとする。
また、電気自動車やハイブリッド車、バイオ燃料(E5・E10)の利用拡大も促している。企業に対しては、物流の効率化や省エネルギー設備の導入、再生可能エネルギーの活用に加え、可能な場合には在宅勤務を導入して移動需要を減らすように求めている。
首都ハノイ市も燃料市場の安定化に向け、監督を強化した。最近、一部の給油所が供給不足を理由に営業を停止したことを受け、正当な理由なく販売を停止する行為は認めない方針を示した。市場管理当局が事業者の在庫や販売状況を監視し、違反があれば厳しく処分する。
ハノイ市商工局によると、3月7日時点で市内17カ所の給油所が一時的に販売停止または在庫切れとなった。多くは中間流通業者の系列店舗で、輸入業者からの供給に依存していることが原因とされる。一方、輸入元企業の直営店は比較的安定した供給を維持しているという。
政府は燃料価格高騰への対策として、3月9日付でガソリンなどの輸入関税を一時的に0%へ引き下げる政令を施行した。ガソリンやナフサなどの税率は10%から0%へ、ディーゼル燃料や航空燃料なども7%から0%へそれぞれ引き下げられる。
措置は2026年4月30日までの時限措置であり、状況に応じて延長も検討する。財務省によると、税率引き下げにより歳入は約1兆240億ドン(約60億4160万円)減少する見込みである。


































