<写真:thanhnien.vn>
ベトナムのファム・ミン・チン首相は3月10日、エネルギー安全保障に関する作業部会との会合で、国内燃料市場の安定化を図るため「石油価格安定基金」を即時活用するように指示した。
政府は「あらゆる状況でもエネルギー不足を起こさない」との方針を示しており、措置は11日から適用される。
政府は最近の中東情勢の緊張激化による世界的なエネルギー価格の変動が、ベトナム経済に影響を及ぼす可能性があると判断した。
燃料価格の上昇は経済成長目標やインフレ抑制に影響するほか、製造コストや物流費の増加を招く恐れがある。
また、投機や買い占め、国境を越えた密輸などが発生し、市場の混乱につながる可能性も指摘されている。
石油価格安定基金は、ガソリン1L当たり300ドン(約2円)を消費者が負担する形で積み立てられ、企業が管理する資金を政府が価格調整時に活用する仕組みである。
2023年末以降は基金の積み立てや取り崩しは行われていないが、2025年第3四半期末時点で約5兆6170億ドン(約331億円)の残高がある。
政府は併せて、燃料価格の引き下げ策として環境保護税の見直しも検討している。
財務省に対し、ガソリンの同税を現行の1L当たり2000ドン(約12円)から0ドンへ引き下げる案を12日までに提出するように求めた。
実現すれば、ガソリン価格は1L当たり1000~2000ドン(約6〜12円)程度下がる可能性がある。
供給確保のため、政府は原油調達先の多様化も進めている。
チン首相と湾岸諸国首脳との協議を踏まえ、約400万バレルの原油を調達する方針であり、クウェートやアラブ首長国連邦が供給を継続するほか、カタールもエネルギー需要への協力を表明している。
これは2025年の平均消費量で約7~10日分に相当する量である。
国内では中東情勢への懸念から燃料不足への不安が広がり、一部地域で買いだめが発生した。
ハノイ市やホーチミン市ではガソリンスタンドに長い行列ができ、消費量が短期間で通常の50~100%増加したとされる。
政府によれば、企業による商業備蓄や国内製油所の在庫を含め、短期的な供給は確保されており、少なくとも3月末までは需要を満たせる見通しである。
政府は買い占めや価格つり上げの取り締まりを強化するとともに、エネルギー節約やバイオ燃料「E10」の利用拡大を呼びかけている。


































