<写真:dantri.com.vn>
中東情勢の緊迫化に伴う原油価格の急騰を受け、ベトナム国内ではガソリンおよび軽油価格が大幅に上昇している。
専門家は、価格安定化基金の活用に加え、税および手数料の機動的な引き下げが不可欠であると指摘している。
国内の燃料市場は、2月末以降の中東情勢の悪化を背景に変動が激化しており、ガソリンおよび軽油の価格は緊張発生前と比べて52〜73%上昇した。
政府は過去2週間で6回にわたり価格安定化基金を活用し、総額約3兆600億ドン(約183億6000万円)を支出したが、基金残高は約5兆6700億ドン(約340億2000万円)にとどまっている。
この水準では、現行の支出ペースを前提とすると、安定化効果は約15日分に限られると見込まれる。
経済専門家は、単一の安定化手段に依存するのではなく、税制調整など複数の政策を組み合わせて対応すべきであると強調する。
現在、ガソリン価格には輸入税、特別消費税、付加価値税(VAT)、環境保護税などが課されており、最終価格の約30%を税および手数料が占める構造となっている。
とりわけ、VATが他の税を含む価格に対して課される、いわゆる二重課税的な仕組みが、価格上昇圧力を一層強めている。
財政当局は環境保護税をゼロに引き下げる案を検討しており、実施されれば1L当たり1000〜2000ドン(約6〜12円)程度の値下げ効果が見込まれる。
また、運輸業界の負担軽減を目的として、特別消費税やVATの引き下げも提案されている。
燃料費は運送コストの30〜40%を占めるため、税負担の軽減は企業活動の下支えにつながると考えられる。
さらに、国内価格の決定方式の見直しも重要な論点である。
現在は国際市場価格に連動する仕組みが採用されているが、国内精製分について独自の価格形成メカニズムを導入することで、価格変動の影響を一定程度緩和できる可能性がある。
中長期的には、戦略的石油備蓄の強化が重要課題となる。
現状の備蓄水準は30〜50日分にとどまっており、政府は輸入純量ベースで75〜80日分、最終的には90日分への引き上げを目標としている。
備蓄インフラの整備にあたっては、民間企業との連携による投資および運用モデルの活用も検討されている。
エネルギーを経済の基幹インフラとして位置付け、供給の安定性を高めることが、今後の外部ショックに対する耐性強化に不可欠である。































