<写真:diendandoanhnghiep.vn>
中東情勢の緊迫化に伴う燃料価格の急騰により、ベトナムの航空業界は運航縮小の圧力に直面している。
ベトナム民間航空局によれば、シンガポール市場における航空燃料Jet A-1の価格は2026年3月中旬に1バレル227ドル(約3万4050円)台へと急騰し、短期間で大幅な上昇を記録した。
価格変動は従来の緩やかな上昇局面を超え、日単位で急伸する不安定な局面に入っている。
燃料費の高騰が航空会社の収益構造を直撃しており、ベトナム航空の試算では、燃料価格が1バレル200ドル(約3万円)前後で推移した場合、運航コストが倍増する可能性がある。
もともと利益率が低い航空業界において、搭乗率の低い路線や競争の激しい区間では採算の悪化が避けられず「運航すればするほど損失が拡大する」状況が現実味を帯びている。
さらに深刻なのは供給不足のリスクである。ベトナム民間航空局は4月以降、航空燃料の供給逼迫が発生する可能性を警告している。
これが現実化すれば単なるコスト問題にとどまらず、運航能力そのものに影響が及ぶと見込まれる。各社は減便やスケジュール調整、さらには欠航を余儀なくされる可能性が高い。
現時点でベトナムの主要航空会社は具体的な減便計画を公表していないが、採算性の高い路線への集中や不採算路線の見直しを検討しているとされる。
業界関係者は、価格上昇であれば運賃調整などで対応可能である一方、供給不足は運航維持に直結するため、より深刻であると指摘している。
一方、国際航空市場でも同様の動きが広がっている。
調査によれば、アジアを中心とする約40社のうち6割以上が2026年3月中旬以降、燃料サーチャージの導入または運賃引き上げを実施または検討している。
値上げ幅は路線や座席クラスにより5〜20%程度が一般的であり、長距離路線では追加負担がさらに大きくなる傾向にある。
燃料価格高騰の背景には、中東情勢の緊迫化によるエネルギー供給不安に加え、製油所の稼働低下や空域回避に伴う飛行距離の延長がある。
これにより燃料消費が増加し、コスト上昇に拍車をかけている。
ベトナム当局は対策として、航空燃料に対する環境税の一時免除、付加価値税の軽減対象への追加、燃料サーチャージの柔軟運用、国内線運賃上限の見直し、各種航空関連料金の引き下げなどを提案している。
短期的には価格転嫁による対応が進む見通しであるが、供給不安が現実化した場合、航空ネットワークの維持そのものが課題となる。
燃料問題はコスト管理の枠を超え、航空産業の運航基盤を揺るがす要因となりつつある。


































