〈写真:Tuoitre〉
ベトナムの旧正月(テト)における「お年玉(リーシー)」の在り方が変化している。新札不足を背景に、QRコード決済を活用したオンライン送金が広がりつつある。
毎年年末になると、多くの家庭ではリシ用の新札を用意するために奔走する。寺院や墓参で配る少額紙幣、子どもや友人の子に渡す中額紙幣、年長者に贈る高額紙幣など、用途に応じて細かく準備するのが慣例である。
しかしここ2年ほどは新札の流通量が減少し、銀行で連番の新札をまとめて入手することが難しくなっている。
ある会社員の女性は、例年であれば知人や銀行関係者に依頼して新札を確保してきたが、2026年は十分な枚数をそろえることができなかったという。
家族は毎年元日午前9時に墓地へ集まり、先祖に線香を手向けた後、その場で新年のあいさつとリシを交わすのが恒例行事である。
しかし、2025年は新札不足のため、年長者に優先的に配る一方で、兄弟や子どもには使用済み紙幣や少額紙幣を充てざるを得なかった。
その際、若い世代が互いにスマートフォンを取り出し、QRコードを読み取って送金する様子を目の当たりにしたという。
着金を知らせる電子音と笑い声が響く中で、リーシーに込められてきた「縁起」という概念自体が変わりつつあることを実感したという。
2025年、この女性は一部でオンラインリーシーを導入した。
母親や年長の親族には従来通り赤い封筒に整えた紙幣を包む一方、同世代や子どもたちには全面的にオンライン送金を活用する方針である。
新札への両替や封筒の購入に奔走する必要がなくなり、多額の現金を持ち歩く不安も軽減される。
- Jessy Primary Schoolの教育方針・プログラム
リーシーは本来、新年の幸運を願う気持ちを託すものであり、紙幣の新旧そのものが本質ではない。
デジタル決済の浸透に伴い、伝統行事もまた時代に応じた形へと移行している。家族と過ごす時間をより大切にするという価値観が、テトの風景を静かに変えつつある。

































