<写真:nld.com.vn>
ベトナム政府が公布した政令133/2026により、賃貸住宅の家主が入居者から生活用電気料金を小売価格より高く徴収した場合、2000万~3000万ドン(約12万~18万円)の罰金が科されることになった。
これは5月25日から施行され、超過徴収分の返還も義務付けられる。
長年続いてきた賃貸住宅での電気料金上乗せ問題の是正を目的とした措置である。
現行の小売電気料金は1キロワット時あたり約1984ドン(約12円)から3460ドン(約21円)(付加価値税除く)である。
しかし、ホーチミン市の多くの賃貸物件では3500~5000ドン(約21~30円)で徴収されているのが実態である。
この差額は特に労働者や移住者、子どものいる家庭にとって負担となっており、不満を抱えながらも住居確保の難しさから受け入れているケースが少なくない。
一方で家主側からは、電気料金の上乗せ分は実質的に設備維持費などの補填に充てられているとの声が上がる。
ホーチミン市の賃貸住宅経営者は、電気配線やメーター、共用部照明の修繕費などを家主が負担しており、電気料金収入で補ってきたと説明する。
電気使用量が多い物件では設備の劣化も早く、家賃の大幅引き上げが難しい中で経営の圧迫要因になるという。
別の家主も、共用設備の電力(洗濯機、監視カメラ、廊下照明など)を個別に分けて請求できないため、差額で賄っていると指摘する。
新制度に従えば、こうした費用は家主負担となり、別途水道料金などの値上げにつながる可能性を示唆する声もある。
ハノイ市の賃貸住宅でも同様に、電気料金を4000~4500ドン(約24~27円)で徴収している事例があり、今後は規定に沿った価格へ移行する方針が示されている。
さらにホーチミン市では5月1日から、賃貸住宅に対する新たな基準も適用された。
決定23/2026により、既存の賃貸住宅は1人当たり最低4㎡の居住面積などの条件を満たす必要がある。
適合物件に居住し、仮住登録を行った入居者には非事業用としての電気・水道料金が適用される。
また、家主は入居者の居住証明を提出することで、電力会社から全使用量に対して生活用電気料金の第3段階が適用される仕組みとなる。
水道料金についても支援策が検討されている。
一方、設備改善や防火対策のための改修を行う家主には、政策銀行などからの優遇融資が提供される。
ホーチミン市電力総公社の幹部は、これまで適正料金の周知を進めてきたものの、一部で利益目的の高額徴収や、インターネット料金などを電気代に含める不適切な請求が残っていると指摘する。
賃貸契約が12カ月以上で仮住登録がある場合、入居者または家主が電力会社と直接契約できる。
12カ月未満で人数把握が不十分な場合は、第3段階(101~200キロワット時)の料金が適用される。
人数が確認できる場合は、4人で1世帯分の電力使用量として算定される仕組みである。