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自らの尿を飲用・塗布するなどの「尿療法」がSNS上で拡散し、不安が広がっているが、専門家は科学的根拠がないと指摘している。
最近、SNSでは自分の尿を飲む、顔や体に塗る、入浴や洗顔、さらには点眼に用いるといった健康・美容法が紹介され、一部では自然由来で体の浄化や美肌、痛みの軽減に効果があるとする主張も見られる。
これに対し、ベトナム水中医学・高気圧酸素医学会の医師は、こうした見解には科学的根拠がないと明言する。
尿は腎臓による排泄産物であり、体外へ排出すべき物質を含むもので、再利用すべき栄養源ではないとする。
生物学的には、尿の約95%は水分で、残りは尿素、クレアチニン、塩分、電解質、その他の代謝産物で構成される。
いずれも体内の恒常性維持のため排出されるべき成分である。
SNS上では長年の実践経験として、肌が滑らかになった、体が軽くなったなどの体験談も共有されているが、これらは自然志向を強調しつつ現代医学を否定する論調とともに語られることが多い。
一部では、尿に含まれる尿素が化粧品にも使われていることを理由に有効性を主張する声もあるが、専門家はこれを否定する。
化粧品に使用される尿素は高純度で濃度や安全性が厳格に管理されているのに対し、尿には不純物や細菌、老廃物が含まれる。
また、尿中の尿素濃度は低く、角質除去効果を得るには不十分である。
一方、尿素分解で生じるアンモニアは皮膚刺激の原因となり、皮膚の保護機能を損なう恐れがある。
尿を用いた洗顔や入浴、マッサージは、特に傷や敏感な部位に接触した場合、炎症や感染を引き起こす可能性がある。
さらに、尿が無菌であるとの認識も誤りであり、健康な人でも低濃度の細菌が含まれることが現代の研究で示されている。
特に危険とされるのが点眼への使用である。無菌性が保証されない液体を目に入れることで、結膜炎や角膜潰瘍を引き起こし、視力に影響を及ぼす恐れがある。
尿を飲用する行為についても、体内で排出された老廃物を再び処理することになり、腎臓への負担を増大させる。
電解質異常や心血管機能への影響を招く可能性があり、基礎疾患を持つ人にとっては特に危険である。
さらに、薬物治療中の場合、尿には薬物の代謝産物が含まれることがあり、再吸収によって治療効果の変化や副作用リスクの増大につながる可能性があると指摘されている。